北野武

北野武監督のソナチネを鑑賞。


思っていたよりだいぶ凄かった。ヨーロッパの監督の作品みたいで、ベルリンやカンヌでうけて日本ではうけないはずだと納得。

やくざの組長(たけし)が本家の親分に指示され沖縄で抗争している別の組の助太刀に行くのだけど、事務所は爆破されるわ若いやつは殺されるわで結局海辺の隠れ家に落ち着くことに。ところがそこでは何もすることが無くなってしまい、暇なのでダラダラ遊ぶ。とにかく遊ぶ。


まず、大半を占める海辺のシーンがとても綺麗。そしてダラダラやくざが遊ぶシーンはゆるくて面白いのだけど、時に怖い、それも直接的な暴力描写ではなく死に対する無自覚さからくる怖さみたいなシーンが入ってひきしまる。

あと久石譲の音楽がいい。これは久石譲の手腕もさることながら、普段のシーンでは音楽を使わずここぞ!というシーンで静かに流す、この手法が結構好き。

作品を観た人の中には、報道で聞く世間の高評価と実際の作品から受けるイメージのギャップに戸惑う人もたくさんいたと思う。これほんとに凄いの?みたいな。


でもそれは、一般的に現代の日本人の大半が持ってる「ヒット作」のイメージ、そして何よりビートたけしというイメージを頭の片隅において観ているから感じることなのであって、むしろ至極正統派な作品にすら思えたりもする。


海外で賞をもらうことと面白いことは決してイコールでは無いと思うし、そのスタンスを取り続ける限りこの先もずっと興行的にもパッとしないだろうな。


ちなみに彼が好きな映画にゴダールの「女は女である」やフェリーニ作品が挙がっていた。とても「らしい」チョイスだなーと思った。