イニシエーション・ラブ

「もう一度読み返したくなる!」がキャッチコピーの青春ラブストーリー、とみせかけて叙述トリックで最後にどんでん返しがあるミステリー。

友人に「そこそこ面白い」と言われて読んだ。確かにそこそこ面白かった。


恋愛ものは根本的には好きだし、最近小難しい本ばかり読んでいる反動も加わってかなり軽快に読めた。
前半は楽しめて、後半からなんか陳腐だなと思い始め、最後のトリックでそこそこ感心すると同時に「これをやりたいがためにわざわざ恋愛小説書いたのか・・・」と、頭に浮かぶ作者のどや顔にどんな表情を返せばいいのかわからなくなった。
イニシエーション・ラブというタイトルの意味らへんを深く掘り下げてくれればよかったのになぁ。結局はミステリーに持っていきたいがためにないがしろにされていて、結構期待しただけにそこが不満。


噂に聞くどんでん返しが気になったので「早く先が読みたい!」と久しぶりに感じたし、楽しめたのは事実だけれどまぁ当分こういう系はいいやという感じ。また読書に疲れたら気楽に読める本を読もう。


いい小説とそうでないものの差は情景描写の流麗さな気がする。凡百の作品は目に見えることをわりと分かり易くかつ小説っぽく書くけれど、そうでない作家はここでこんな表現するのかと感心させられる。

でも後者はときに難解すぎたりして、世間に受けるかどうかはそのバランスによるのだろうな。